つぶれる歯医者の特徴 2022年版

つぶれる歯医者≒倒産件数・閉院数

2020年度に帝国データバンクから発表された歯科医院数の倒産件数は10件、負債総額は3億2600万円であり、閉院数は64件。
2021年(令和3年)の歯科医院の総数は68,024診療所ですから決して多くはありませんが、つぶれる歯医者というよりつぶれそうな歯医者を継続し続けている件数は非常に多いように思えます。

市場調査をしないで開業してしまう

つぶれる歯医者…の多くは開業前にその要因をすでに作っています。
倒産・閉院件数は表面上は少ないものの居抜き譲渡などによる実質的な撤退案件はかなり多いと思います。結論から言うと開業前に市場調査をしていない、近隣の競合歯科医院の調査をしていないことが多く見受けられます。

・診療時間、休診日
・治療内容
・小児歯科、キッズスペース
・予防におけるアプローチ
・ホームページの内容
・CT、マイクロなどの歯科器材
・駐車場の有無、数
・カード払い、デンタルローンの導入
・予約システムの調査

近隣歯科医院の内容だけで見ても、最低限このくらいの調査は必要です。
人口推移や平均的な世帯収入、医院前の1日における人の流れや人数調査、周辺の大型中型のショッピングセンターやマーケット、個別指導塾やコンビニエンスストアの数なども調査の対象とすべきです。

特に居抜きでの開業は患者情報を譲渡してもらえるだけの部分にメリットを感じてしまいやすいですが、そのまま踏襲して開業すると思わぬ落とし穴に落ちてしまうことも多々あります。

質の悪い歯科助手・歯科衛生士を雇ってしまう

歯科経営者が面接の手順、基準を学ばないで、面接を受けた人を順番で起用してしまうとトラブルメーカーを起用してしまうことも多々あります。

質の悪い歯科助手、歯科衛生士、さらには嫌になってきたらワザと自分を解雇させる方向に持っていき、翌月の給与保証をもらって悠々と辞めていくスタッフなど、様々な雇用トラブルを相談頂きます。
経営をする以上、雇ってしまうと経営者より雇用者の方が立場が強いのが日本の現状です。
自己防衛のためにも、面接時の採用基準や雇用環境と雇用契約の内容はしっかりと定めておくことが重要です。歯科経営コンサルタントに面接代行をしてもらうと、トラブルがあった場合に交渉しやすくなるというメリットもあります。

悪いスタッフは患者を減らす

悪いスタッフは院内でのトラブルはもちろんですが、しっかりと医院のイメージも悪くします。
それは来院された瞬間から直感的に「嫌な空気」を出しているものです。我々のようなコンサルタントは入った瞬間から医院スタッフを観て調査・判断しますから、そのようなスタッフは患者さまにも悪いイメージを与えてしまいます。これも医院が潰れる要因に大きく関係してきます。

また、歯科助手や受付スタッフという職責だけなのにもかかわらず、予約をキャンセルした患者さまに強い態度を取るスタッフがいます。これもまた医院を倒産させることに貢献します。なぜなら、それは彼女らが「怒る」という行動の権限を持たないからです。患者さまはそれを理解しています。もちろん予約キャンセルは迷惑なことですが、それを注意する権限は医院経営者であり、もしくはその注意をする権限を与えられたスタッフのみであり、「怒る」という行動は仕事の上でまったく意味を為しません。確実に医院の悪いクチコミを増やします。

上着を脱がないで面接に入ってくる歯科衛生士・助手

デリカシー、配慮がない

歯科衛生士にも色々いますが、昨今の歯科衛生士は笑顔で接遇ができない場合は確実に自費も獲得できませんし、患者はよっぽどの理由がない限り他の歯科医院を選びます。
歯をクリーニングした時などは、キレイになったことを一緒に喜んで差し上げたり、ちょっとしたアドバイスにも笑顔で対応、これは数の飽和で歯科医院が市場原理が介入してしまって患者側は歯科医院を選べる時代になったことで必須要綱です。
デリカシー、配慮の出来ない育ちの悪いスタッフを雇用すると医院の任期を著しく下げることになります。

電話に出ない歯医者

電話に出ない歯科医院

電話に出るのが遅い救急隊を想像したら嫌ですよね?

同じくらい、患者さんはお電話に出て下さり、
「今日はどうされましたか?痛みはありますか」
ということばだけでも、ホッとするもんなんです。

電話に出るのが遅い歯科医院

これは本当によくない傾向、患者の少ない歯科医院に限って電話に出るのが遅いんです。
企業では3コールで電話に出るのが常識です。
つまり、市場の常識に合っていない歯科医院は人気歯科医院であるという認識がない限り、電話に出るのが遅い歯科医院はやる気がないと判断されてしまいます。

経営を学ばず、経営をおろそかにしてしまう

歯科医師である皆さんはシングル・タスクが得意な方が多く、治療や接遇には高い能力を発揮できる方は多いのですが、経営管理や経理、スタッフ指導、自費誘導へのクロージングなど複数の能力を同時に行わねばならないなどマルチ・タスクを苦手とする方が多いのも事実です。

その為、苦手とする分野を奥様などに任せてしまうケースもありますが、夫婦間で経営の指針やビジョン、勤務マニュアルや評価基準、日々の業務におけるチェックシートなど(奥様が歯科従事者であれば上手くいくケースも多いですが…)を用意していないことが多く、方向性と発言のベクトルが違う経営者が2人いるような状態になり、離職率が高くなり、いつも人材不足で経営状態が悪くなっていくというケースが見受けられます。

開業時や開業前に、自分が勤務した過去の経験内容だけに頼らず学ぶことが大切です。
ただし、歯科経営セミナーで「勉強したつもり」も危ういです。実際に開業後には使い物にならない歯科経営セミナーを鵜呑みにしてしまって実践している歯科医院経営者は大変多くいらっしゃいます。

バイアスに飲み込まれやすい

歯科医師はバイアスに飲み込まれやすい傾向があります。
バイアスとは、傾向・先入観、自分のわずかな知識と経験といった思い込みや判断の隔たりを意味します。

経営は常に鳥瞰的・俯瞰的、そして虫瞰的な視野と思考が必要です。バイアスに飲み込まれやすい経営者は経営が下手です。患者が増えない・増やせない、スタッフを使いこなせない、自費を伸ばせないという最悪のスパイラルに飲み込まれやすいのです。

逆に治療がそれほど得意じゃなくても、それら3つが出来れば医院経営は面白いほど上手に(利益の追求という点で)出来るケースも多々あります。
あくまで歯科医院経営は『経営』ですから、治療行為ではありません。しかしながら経営をするのであれば治療が上手でも経営が下手なのであれば医院は倒産します。ここをご自身で学ばれた方は大きく成長することが多いというのも歯科業界というマーケットが、逆に言えば「経営を学ばないまま経営をしている人が多い」ということであり、そのマーケットで経営力を手に入れれば大きく成功しやすいということでもあります。

歯科医院を潰す経営者は100%バイアスに飲み込まれていると断言できます。
そして歯科医院は中小企業のように短期間で倒産はしません。ゆっくり苦しくなり、ゆっくり言い訳をしながら、ゆっくり終わっていきます。それが昨今の開業や歯科経営では少しずつスピードが速まっていると言えます。

宣伝広告費を毎月の予算編成に組み込んでいない

歯科医院の数は68,024件、他の診療所(内科・小児科・皮膚科)などが合わせて10万件ほどに対し、完全に歯科では市場原理が介入、発動している状態です。
つまり他の医科の分野に比べて競争原理が生まれてしまっていると言えます。それにより患者側は自分の欲求や判断により歯科医院を選ぶということになります。

逆を言えば、歯科医院経営において宣伝広告費を掛けないということは集患・新規患者の獲得をギャンブルにするということです。

では、宣伝広告費について種類によっての考え方と予算の指針を説明します。

固定費としての宣伝広告費

・予約ツール(診察券アプリ)
・駅看板、電信柱看板
・ホームページ管理費
・宣伝物を作るための人件費
※医院ニュース作成時間、メルマガ配信
※ホームページ・SNS等の更新作業

流動的な宣伝広告費

・リコールはがき(通信料)
・医院紹介3つ折りリーフレット
・自費促進3つ折りリーフレット
・紹介カード
・増患チラシ
・リスティング広告料(LP)

固定費はある程度、毎月の金額が算定できますが流動的な広告費は戦略的に変化するものです。近い将来、これらは当たり前のように浸透していくと思われますし、逆にこれらの施策・対策をしていない歯科医院はおのずと患者減少、淘汰されていく可能性が高いと言えます。

ケチな経営は倒産しやすくなる

おおよそ倒産する、市場から撤退することを余儀なくされる歯科医院経営者は宣伝にお金を掛けません。
色々な理由を述べる方がいますが、
・ホームページも真剣に参加して運営していない
・トレンド経営を学んでいない
・院内リーフレットや自費の説明ツールも作っていない
・24時間ウェブ予約も導入していない、
・スタッフが死んだ目をしている
これでどうやって経営が上手くいくのか、逆に進んで潰しにいっているんですよね?と聞きたくなります。

経営はどれだけお金を掛けるか?またはお金を掛けずに手間を掛けるか?の2択です。他に選択肢はありません。
いまどき、「良い治療を提供していれば患者に選ばれる」なんて思っていたら大間違いです。もちろん、良い治療と丁寧な説明、笑顔で患者さまと接することはもはや最低の基本設定なのです。

つぶれる歯医者 独立失敗

つぶれる歯医者 まとめ

トータル的に、つぶれる歯医者というのは『つぶれてしまいそうな歯医者の継続』であるとも言えます。

結果として歯科治療については非常に前向きであっても、経営をおろそかにしてしまうと、上手くいっているうちは良いですが、もし「経営状態が悪くなってきたら」という状況では歯と同じで治療費は高額になります。おおよそ経営状態が悪い状態というのは財政状況も悪くなっている訳ですから良い治療が受けられない場合がほとんどです。

歯科経営における廃業率の数値は低いですが、独立を失敗するとメンタル的にも友人関係においても孤立し悪循環のスパイラルになります。
経営は経験による学びが多いですが、出来る限り戦略的な経営計画をはじめに立てておくことを勧めます。

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