歯科における同一労働・同一賃金について考察

同一労働・同一賃金ガイドラインの概要

このガイドラインは正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用・派遣労働者)との間で、待遇の格差が不合理なものであるから、是正するために原則となる考え方と具体例を示したものです。

詳細は下記URLにてご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html

基本的な考え方は3つです。

1.基本給
2.賞与・ボーナス
3.各種手当

1.基本給について

・能力、経験に応じて支払われる内容
・業績、成果に応じて支払われるもの
・勤続年数によって支払われるもの

これらを策定して決めなくてはいけません。
ざっくりと「時給¥〇〇〇〇」という、その時々に合わせた取り決めでは不平を生むことから禁止ということになります。さらに、

・昇給基準は同一能力または違いを明確にする

という内容も盛り込まれています。

2.賞与について

ボーナス(賞与)については、会社(歯科医院)の業績等への労働者の貢献によって支給するものであれば、

・同一の貢献には同一の賞与支給

というルールになりました。つまり「貢献」という内容を明確にしなくてはならないということです。

3.各種手当

役職手当を支給している場合は、

・同一内容の役職には同一の手当

を行わなければなりません。その他歯科医院では、交代制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当精皆勤手当時間外労働手当の割増率などがあります。

[ 対 策 ]
基本的には、歯科衛生士・歯科助手・受付といった歯科医院ごとに考えられる職務の等級基準を作ることが必要です。
等級は基本給の基準となる医院ごとの「最低限、院長または歯科医院が求める業務レベル」を盛り込むことが大切です。
また、賞与については医院の業績をしっかりと従業員に把握させることも大切です。特に勤務医、歯科衛生士のように診療報酬に直結する雇用者に対しては、目標の設定やモチベーション管理でも歯科医院経営サイドではメリットとして活用できることも多いのです。コツとしては1年間ではなく、企業のように1年間を4回に分けた四半期ベースで評価をすること、さらに大きく前期後期に分け、数値を追っていく経営に変換していくことも良いかと思います。

パートさんが気にする103万円の壁

歯科医院で働くパートさんなどの気になされるところは103万円の扶養範囲での働き方だと思います。

1.年収100万円を超えると住民税を収めなくてはなりません。

2.年収103万円を超えると所得税を納めなくてはなりません。

3.年収106万円/130万円を超えると自身の社会保険料を納めなくてはなりません。

4.年収150万円を超えると配偶者は配偶者控除が受けられなくなります。

主たる納税者の年収によって内容が変わりますので、ここでの細かい説明は省きますが、同一労働・同一賃金における基本給・賞与・手当は103万円を基準に策定しないと問題が発生します。

個人的な見解では、この同一労働~のガイドラインはそもそも破綻しているガイドラインです。なぜなら、「103万円以上、収入を得たくない」という働くパートさんの都合と、「お給料はもちろん高い方が良い」という正社員さんやフルタイムで働く従業員さんの都合が折り合わないからです。

特に問題は賞与と手当です。
時給でしっかり働き、年間103万円で納めたいというスタッフさんは多いと思います。ですが同一労働・同一賃金というルールを守るには賞与も手当も支払わなければなりません。そうなると、103万円で抑えるために時給を低く、しかも最低賃金以上で設定しなくてはなりません。
そうなると、毎月の突発的な予定変更で収入が減少してしまうこともあり得るわけです。

問題点と解決策

ここで雇う側である雇用者は、労働者を多くしてその問題点を水を薄くすることで解決しなくてはなりません。完全に破綻しているガイドラインです。
解決策としては、歯科衛生士・歯科助手・受付さんなどの働き方によって細かく基準を決めなくてはなりませんし、医院側と労働者で必ず細かな契約を交わしておかないとトラブルになり兼ねません。

現段階では、しっかりとした解決策とは言えませんが、論理破綻したガイドラインに年棒制度で対応する方法もあるかと思います。ただ基本給・賞与・手当は103万円を最低基準に作ることを推奨します。

これについては、また追記いたします。

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