つぶれる歯医者の特徴 2022年版 の記事はおかげさまで月間500人以上に読まれる人気コンテンツになりました。
あくまで新規開院から閉院する特徴をあげてみましたが、この2年ほどでご相談頂き閉院準備をされる歯科医院さまの特徴が変わってきたので執筆しようと思います。
今回の記事に関してはあなたも他人事ではないということが特徴に挙げられます。『明日は我が身』と言う言葉もありますが、リスクヘッジと「転ばぬ先の杖」としてお読みいただければ幸いです。
つぶれる歯医者の特徴 2022年版 の記事はおかげさまで月間500人以上に読まれる人気コンテンツになりました。
あくまで新規開院から閉院する特徴をあげてみましたが、この2年ほどでご相談頂き閉院準備をされる歯科医院さまの特徴が変わってきたので執筆しようと思います。
今回の記事に関してはあなたも他人事ではないということが特徴に挙げられます。『明日は我が身』と言う言葉もありますが、リスクヘッジと「転ばぬ先の杖」としてお読みいただければ幸いです。
歯科経営は行政の多くと同じ「箱モノ商売」と考える方が多いことも事実です。
ダメだったら売ればいい、安かったら買えばいい、で安易な出店で失敗をする方が多く、その結果として残債による経営圧迫で倒産が近づいている方の相談が増えています。
歯科医師の多くはプライドが高く、失敗をあまり知られたくないという方が多いことも事実です。
私などは以前、横浜進出を皮切りに全国展開…というのを夢に見ましたが気持ちが良いほどに大失敗。これは呑みの席での笑い話にしておりますが、歯科医院経営者のかたで「失敗したから退却した」や「分院長を管理しきれず失敗した」という言葉はほとんど聞きません。
借入による出店計画の失敗
「晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げる」という教訓は、企業や法人が儲かっていて景気の良い時には融資の話を勧めて来ます。
物件を紹介してくる業者の方も、確かに素晴らしい物件であることは間違いないのですが、展開・新規開院される先生にとっていささか荷が重い場合が多々あります。
初めての開業の時は、がむしゃらに働き、患者も多く自費率も高く成功したとしても、あくまで個人事業主としての成功であり法人格になったとしても経営者として育っていない場合がほとんどです。歯科医師としては一流でも、収支計画や事業計画、現在のご自身の財務を理解できていない事が多く、同じことをやれば成功する・自分が行けば成功するという過信が小さな穴を作るものです。
失敗は3軒目から
テナント開業の場合、ビジネスビルでの開業はそのビルに入っている会社の社員数が医院の第一診療圏内=患者見込み数となるので通常のエリア・マーケティングより信頼できる数値となります。ですが駅構内や駅近テナントはあくまでその医院の経営戦略がすべてなので、予想と予定が大きく崩れる場合もあります。
「こんなに集患できないとは思わなかった」
というケースも多々あり、それでも医院経営はゆるやかに資金が回せます。本院の利益を食いつぶしながら「もう少し立てば患者も増えて定着するだろう」と止まることなく進みます。この段階で当社にご相談があれば90%経営は改善されますが、多くは見た目だけ美しいホームページをそのままに、何もしないで受動的な歯科経営になるのでギャンブル性が高くなるわけです。
さらに金融機関は内情を決算書でしか判断しないので、本院と分院を1つの企業として見るので早ければ2~3年程度で新たな融資話を持ってきます。中小企業とは信頼性が違います。さすが医療、融資先も焦げ付きにくいと思うのでしょうか、金融機関も予算がある以上貸し付けをしなくてはなりませんから、多少2つ目の診療所の成績が悪くても3つ目の診療所を出せば湯が薄まるナンピン買い理論で話を勧めるのです。金融機関は移動も早いので融資をした後の経営の悪化はその時の担当など知ったことではないのです。
本院が自社物件、持ち物件だったりすると5軒目まであっという間に話は進みます。自転車操業の始まりです。
すでに年に1度は大型医療法人社団の倒産や物件譲渡が目立って来ています。失敗は2軒目の小さい穴から始まっていると言えます。
投資をしている歯科医院経営者は意外に少ないですが、土地建物などの資産を持っている方は意外に多いのですが、資産・資本・有価証券を持たずに今日まで歳を重ねてしまっている先生も意外に多いものです。
職業の性質上、目と手は流動資産です。いつまでも使えるものではありません。
60歳、65歳から後継者がいない、その後の収入が見込めない場合は厳しい未来が待ち受けます。そして多くの方が45~55歳の間に大きな病気などを患うリスクを考慮していない、人生設計にリスクヘッジをしていないと未来は大きく暗転します。
ここ2年ほどで50代後半の方の相談件数も増えております。しかしながら、経営改善は出来ますが人生改善は当社のサービスでは提供できない領域です。あと5年現役をしっかりと続けられるなら善処できますが、悪いことは言いませんが50歳て前にはコンサルタントとの関係をお付き合い程度でも良いからしておくべきです。はっきり言います。税理士では無理です。税理士系コンサルタントでこの分野が解決できるのであれば、この歯科医師における高年齢化での問題は浮上していません。税理士は単なる帳簿屋であって出来ることはM&Aの推奨か、資金運営のアドバイス程度です。しかも税理士はほとんど提案をしません。経営の始まりと中間では税理士は優秀なパートナーですが、終盤では役に立たないことを覚えておくべきです。もちろん、そうではない優秀な税理士法人などもおりますが数は恐ろしく少ないものです。
経営では「ヒト・モノ・カネ」とよく耳にしますが、これは経営資源のバランスの価値観の造語です。
ですが歯科経営では、「オレ・カネ・ハコ・モノ・ヒト」と覚えておいて下さい。
そして成長の2段階目は逆に「ヒト→カネ→ハコ→モノ」になります。
1軒目の診療所では先生ご自身がプレイヤー兼経営者でスタートします。これは失敗のしようがありません。成功しかないのです(経営的に失敗したとしても経営者の選択はすべて成功に分類されます)。
ですが2軒目の診療所はどうやって出すでしょうか?
1軒目の開院では、「オレ」がヤル気になって、「カネ」を調達・準備し、「ハコとモノ」を契約・準備をし「ヒト」を雇います。
そして2軒目を正しく出す時は本来は「信頼できるスタッフ・分院長」が本院にすでに準備されており、潤沢な資本「カネ」があり、より良い計画のもとに「ハコ」を選び、ご自身が分院で活躍するのもアリ、分院長に任せるのもアリでCTや開業時には準備できなかった「モノ」を用意して開業する訳です。
ここで信頼関係としっかりとした契約が結ばれていれば問題ありませんが、分院長が言う事を聞かない・勝手なことをする、医院のトラブルを報告しない、自費をポケットに、または歯科衛生士と親密な仲になり他の従業員との関係が悪化し経営に悪影響を与えている…というケースも多々あります。
または、突然退職したいという話を持ってくることで困ってしまうという話もありますが、「すぐ近くの医療法人社団に引き抜かれた」や「すぐ近くに開業され患者ごと持っていかれた」などのケースも多々あります。
すべては経営者の危険予測といい加減な契約、リスク管理が出来ておらず売却するしかなくなるというケースも多いのです。
途中からでもコンサルタントや就業規則をしっかりと管理できる体制を作っておけば倒産することもなかった場合もあるのです。
まとめると、
・分院展開しすぎて管理できずに倒産
・分院展開しすぎて資金ショート
・年齢や病気で倒産(でもまだ元気)
・人の裏切り、人間関係で倒産・撤退
が多くなっている気がします。自分1人でもいつかは退くときが来ますし、複数の医院に展開してもご自身が真の経営者になっていなければ倒産するケースもあります。
口腔内と同じで経営も予防が大切です。リスク管理はご自身が歯科医師というプレイヤーであればあるほどに出来なくなります。先ほどは税理士をDisりましたが、税理士であっても親密なお付き合いをしていれば良いアドバイスはしてくれるでしょう。
経営者は常に参謀を横に置いておくものです。
結果として共通して言えることはこの2年ほどで失敗する歯科医院経営者の多くは、真の経営者になっていなかった。お山の大将が裸の王様で失敗するというケースがとても多いと言えます。