開業直後に失敗する「よくあるケース」
初めに準備しなかったせいで…
分かっていたけど忙しくて準備できなかった…
今までの勤務先では考えたことも無かった…
という新規開業後に失敗とお困りごとを抱えてしまう歯科医院経営者はたくさんいます。
これらは、初めにきちんと決めて面接時から話しておくことで(文章化しておくことで)採用後のトラブルも回避できます。
では、どのようなトラブルが多いのでしょうか?
初めに準備しなかったせいで…
分かっていたけど忙しくて準備できなかった…
今までの勤務先では考えたことも無かった…
という新規開業後に失敗とお困りごとを抱えてしまう歯科医院経営者はたくさんいます。
これらは、初めにきちんと決めて面接時から話しておくことで(文章化しておくことで)採用後のトラブルも回避できます。
では、どのようなトラブルが多いのでしょうか?
まず、スタッフにおいてのトラブルが圧倒的に多いでしょう。内訳としては、
1.スタッフがいう事を聞かなくなる
2.すぐ辞める
3.モチベーションが低い
4.ホームページに非協力的
ではないでしょうか?
ですが、これらには原因と理由がきちんとあります。
多くの先生がスタッフが言う事を聞かない、配慮がない、デリカシーが無い、思ったように動かない…などと頭を抱えることが多いのですが、これらは全て経営者に原因があるのです。
初めて経営をされる皆様には耳が痛い、偉そうに言うな!などとお言葉を頂きそうですが、全ての経営結果と従業員の態度は200%経営者の姿勢の鏡です。そして準備と計画をしていない経営者の責任です。
では、どうすればそのようなトラブルを回避できるのでしょうか?
1.企業理念を掲げること
あえて「企業」と書きました。
歯科医院の院内トラブルの多くは人的要因です。それは町の八百屋さんのような家族経営スタイル、個人事業主型スタイルから脱却できていないからです。
企業理念とは、歯科医院経営者も含むすべての従業員がこの企業理念と共に行動指針を定めるものです。
例えば、当社株式会社アルファージールには「最初から最後までお客様に寄り添った、適正な価格と適正な仕事、サービスを提供する」という理念があります。
ですので、何か従業員に注意をする時にはこの理念に則って注意をします。つまり、経営者個人の見解やバイアスによる指導ではないということなのです。これによって、「あなたのミスや考え方の方向性は当社(当院)の理念に則っていますか?」という指導が出来る訳です。
これによる、「院長はいつもいう事が違う!」と言った不満は『理念の下に、臨機応変に対応する指示』となるのです。どうしていつも言う事が違うのかは、あくまで企業理念に則った判断をする上で…となる訳です。
2.離職率が高い理由
これは福利厚生が時代に合っていないということです。
歯科衛生士や歯科助手は歯科医師と違って『職種を変えられるポジション』でもあります。つまり一般の社会人ですから国保や歯科の保険に加入してもメリットが少ないのです。最近の多くの歯科医院は開業時から社保に加入しています。入職するスタッフもほとんど社会保険があるところを選びます。
パートさんなどで構成するのであれば、それほど重要視することは無いかもしれませんが、しっかり社員として働いていただく、長く働いてもらうには社保は必須ですし、社保のない歯科には良いスタッフが面接に来ることはなかなか難しいかと思います。
3.評価制度・基準がない
今どき、勤務年数で給料が上がる歯科医院は「昭和か!?」とツッコミを入れたくなります。
あくまで勤務年数は評価の1つですが、何をすれば?何を達成すれば?は、初めに決めておくべきです。むしろ、開業前の事業計画書を作文レベルで作っているのであれば、当然評価制度や基準を作っている経営者は少ないのではないでしょうか。つまり、事業計画ですから、短期・中長期のゴールも定めておかなければ『計画』にはなりませんし、そのゴールに着地するために従業員の評価制度や基準は必要不可欠です。これらはスタッフのモチベーションにもつながるので、もし「スタッフがやる気を出さない・モチベ低い」と思われたら確実にご自分に原因があると考えましょう。
4.従業員の不満を解消できない
このような悩みが生まれたら、まさしく家族経営スタイルの職場にしていると気づいてください。
何故なら、あなたが1万人の社員を持つ企業の経営者ならこのようなことを考えますか?考えませんし、不満が不満としてなのか、改善点なのかを常に会議で掘り起こすべきですし、このような悩みを持つ経営者はまず「会議」が「学級会」になっていることがほとんどです。
さらに、本当の不満や悩みについてであれば、2022年4月よりすべての事業を営む経営者、事業者にはハラスメント対策室の設置が義務付けられています。
5.医院マニュアルがない
初めて歯科医院で働く人を採用するのに、医院で働くマニュアルがないのは新しい世代が多くなっている昨今に非常にマイナスです。
特に歯科助手を未経験での採用をするのであれば、少なくともマニュアルは開業までに作っておくべきです。これは誰の為でもなく経営者本人の為です。経営者であれば、従業員さんたちから最も大きな利益を獲得するために動くのが経営者の仕事です。その準備をしない、今までの勤務経験でなんとかなる、口頭での指導で大丈夫だと思っているのであればそれはすくなくともギャンブルです。
新規開業で、経営者自身の勤務経験での能力値以上の実力や能力を持つスタッフを雇用できる確率は50%です。
しかしながら、それを発揮できるかは正味25%程度ではないかと私は考えます。なぜなら、多くの歯科医院スタッフを見ていると従業員というのは狭い空間で経営者のレベルに合わせて良くても80%程度の能力を発揮しかしないからです。おおよそ50%が良い所でしょう。
では、残りの能力を引き出すためには何をすべきか?
それは「働きやすさ」であり、「働きやすさ」というのは、従業員へのおべんちゃらではなく、【仕組み】です。
経営力のある・ないは重要ではありません。仕組みは仕事力です。
ですので、開業してから暇な時間を使いながらスタッフと共に作り上げていくのも1つの手段ですが、しっかりと治療に集中したいのであれば、出来るだけ開業前の準備期間に「然るべき準備」をすることです。
もちろん、何もしないで上手くいく歯科医院はたくさんあります。
ですが、経営ですから「上手くいかなかった場合を考えリスクヘッジする」ことが重要ではないでしょうか?
経営は「経験」ですが、出来る限り損はしたくないですし、失敗をしたくはないでしょう。であれば「考える」ことです。多くの歯科医院経営者になって失敗をする方は今までの経験の実がバイアスとなって過去の自分が未来を邪魔するものです。経営は未来のための予測で動くことが最も重要です。
ウダツの上がらない歯科医院経営者はかなりキツいし、そのような状態では恥ずかしくてコンサルタントにも相談できない方も多いものです。
できれば、何事にも準備をしておくことを推奨します。
段取り8分(はちぶ)、仕事2分(にぶ)
です。