小児歯科に注力する歯科内覧会・開業とは

子どもが喜ぶイベントが正しいのか?

代表取締役 小林 大晃
TAIKO.KOBAYASHI

2025年8月11日追記

昨今の歯科開業における内覧会に多くの業者が参入している現状に、開業準備する皆さまに内覧会業者を選べるという意味では内覧会サービスは素晴らしいマーケットになってきたと感じますが、果たして、開業される歯科医院経営者にとって『子供が喜びそうな内覧会イベントに特化する』ということが本当に良いと言えるのでしょうか。

デンタルリテラシーの高い親が思う事

内覧会に人・人数を呼びたい、集めたいという気持ちは分かりますが、歯科内覧会は地域の方から見れば「選ぶ価値のある歯科医院か?」という判断するイベントでもあります。

・どんな先生か?
・どんな治療が出来るのか?
・子供は診てもらえるのか?
・自分のニーズに対応できるのか?

です。ここで「子供が楽しめるお祭りイベント」で集客してもデンタルリテラシーの低い層が集まり、無料でプレゼントをもらえるとか、金を掛けずに子供を休日にどこかへ連れていける、と言った層ばかりが集まります。

クリニックにとって認知はされてもその層を医院経営において本当に必要かと言えば現実的には喜ばしい層とは言えません。
もちろん、国民皆保険という誰もに平等な医療を提供するという点では間違いかもしれませんが、内覧会というコストを掛けた戦略的な開業の集患戦略の手法としてはなるべく質の高い患者を集めることに注力したほうが良いのではないでしょうか?

小児歯科における質の高い患者層は子供だましのおもしろおかしいイベントではなく、

・子供の歯や顎の発達に相談できる歯科か?
・歯科医が真剣に子供に向き合った治療を提供できる歯科か?
・子供を受け入れる体制が整っているか?
・自分の子供に受けさせたい治療
(矯正歯科治療やMFTなどの口腔筋療法など・ブラッシング指導など)

に対応しているかを見に来ています。
そのような歯科医とクリニックのレベルを他の医院と比べながら観に来ているのに、

・院内ツアーの機材説明だけの内覧会
・ニーズにない張り紙を読む
・お菓子やお祭りイベントで客集め

このような内容だと「痛くなったら通わせればいい」だけという層ばかりを拾い上げることになり、もし他院にきちんと小児歯科の情報を提供する医院が出来たり、小児歯科に注力する歯科衛生士や管理栄養士がいる医院が出来れば(あれば)、見事に格下扱いの歯科と見なされるでしょう。
言い換えれば質の良い患者層を他のクリニックにお渡ししている「レベルの低い歯医者さん」になりかねないのです。

小児歯科にどの程度、注力するのか?

開業前に小児歯科に対しどれだけ注力するのかは、先生の経営に対する方針次第ですし、歯科衛生士のレベルや経験、医院としての教育によっても変わって来ます。

多くの先生を見ていると、開業時にはなんとしてでも歯科衛生士を獲得したいが為に、面接でご自身の診療方針や歯科衛生士の経験やレベルを確かめず雇用してしまうことによってレベルの低いDHや、小児を苦手とするDHを雇用してしまうことで、結果としてトラブルを抱えてしまうことも見受けられます。

歯科衛生士だから子供に慣れているという先入観は絶対に持ってはいけないし、どの程度、小児歯科を経験してきたかを面接時に確認することと、自分の医院でどの程度の割合で小児を獲得していきたいかも初めに数値化し目標設定に落とし込みをしておくべきかは言わずもがなである。

その上で内覧会では何を提供するか?
お子さまが来られた時にご家族の方が何を聞きたい、知りたいのかを提供するのが正しい歯科内覧会であって、お菓子を渡す・キッズコーナーをアピールする程度であれば、「ああ、そうなんですね」程度の認識で帰られてしまうので内覧会を行った着地が意味のないものになります。

どうすれば開業する診療圏内において小児を獲得できるのか?ここを対策を講じておいた方が開業後の集患結果につながるので、戦略的な内覧会には戦術的な想定をあらかじめ立てておくことを推奨します。

子供を持つ親が歯科医に求めること

1.子供を診てもらえるか?

小児歯科を標榜していれば診てもらえると思う親は内覧会には来ません。
治療はもちろんですが、自分の子供の口腔機能の発達に問題がないか?口腔保健指導(食べる・話す・呼吸をする)はしているか?そして重要なのはそれらが個別指導で歯科医や歯科衛生士にしてもらえるか?というのが子を持つ親にとって最も知りたい部分です。
この点においては歯科内覧会は最適な相談会にさせることが出来ます。歯科医への個別相談や歯科衛生士による小児歯科への姿勢の説明は非常に信頼を獲得できます。
ポイントとしては内覧会チラシを充実させることにあるでしょう。

2.口腔習癖への対応と情報発信

口腔習癖への相談が出来るか?口唇癖など親が気づきにくい癖などはホームページなどに詳しく説明が出来ますし、内覧会での説明・相談などはもちろんですが開業後にも使えるようアドバイス資料を1枚でも良いのでお渡しすることを推奨します。
小児の状態によっては矯正歯科治療へ促すことも出来ますし、かかりつけ医としての信頼獲得にもつながります。また、小児口腔機能管理加算についても経営面では知っておくべきでしょう。

3.デンタルローンなどの支払い方法の多様化

小児歯科において矯正歯科治療は切り離せない選択肢の1つです。
患者側が支払い方法で希望する治療の選択肢を狭めることのないよう、医院側はデンタルローンやクレジットカードなど支払い方法の多様化に対しても対応すべきでしょう。
特にデンタルローンに対してはスタッフにも説明できるようにすべきです。

内覧会で矯正歯科治療の説明時に支払い方法の選択肢を伝えることで個別の矯正相談の予約にもつながります。当社では矯正歯科において2日間の内覧会で13件の矯正精密検査(有料)への予約獲得実績もあります。

ホームページの重要性

小児歯科においてホームページこそ重要な集患ツールであることを認識しましょう。

当社は社内でホームページ制作をしていることもあり、アクセス解析にも注力しています。小児歯科においては夜21時以降にアクセスが増えることをしっています。これは子供が寝てから親はインターネットで知りたいことを調べるということが分かります。

Instagramに関しては利用方法を90%の歯科が間違えており、Instagramのアルゴリズムの変化に対応している歯科医院は非常に少ないと言えます(歯科医がYoutuberのように露出するという意味ではありません)。医療においてSNSは見栄えや派手さを強調するものではなく、医療知識の入り口を増やす手段であるべきです。ここに関しては最新のWEBマーケティングに強い会社と付き合うべきでしょう。

小児歯科に力を入れる開業では

小児歯科に力を入れる開業では、まとめると、

・粛々とした歯科医院としての権威、信頼の獲得
・子供のための情報を発信、受け取れる環境構築
・相談できる「かかりつけ医」としてのアプローチ
・スタッフ全員で小児歯科を行う姿勢

が重要です。開業時の内覧会ではこの点を重視して集患・認知するべきだと思います。

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