2024年度(令和6年度)診療報酬改定で義務化された書面掲示事項のウェブサイトへの掲載内容とは

クリニックのウェブサイトに掲載が必要な算定項目(施設基準)とは?

2024年度(令和6年度)の診療報酬改定では,歯科医院におけるウェブサイトに掲載が必要な施設基準(算定項目)は,次のとおりと考察・認識しております。

  • 医療情報取得加算
  • 医療DX推進体制整備加算

掲載内容については疑義・変更等も随時行われることもあり,あくまで参考として下さい.

1番下に、掲載内容のサンプルを掲載しておきます。

歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準(歯初診)届出済歯科医院の基準

歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準(歯初診)届出済歯科医院の基準の表記については次の内容を記載すれば良いのではないかと現状では考えております。
※2024年5月28日現在:当社の見解・1例として

歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準
1.当院では,口腔内で使用する歯科医療機器等について,患者ごとの交換や,専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理を徹底する等十分な院内感染防止対策を講じております.
2.感染症患者に対する歯科診療を円滑に実施する体制を確保しております.
3.当院では常勤を含める1名以上の歯科医師が,歯科外来診療の院内感染防止対策に係る標準予防策及び新興感染症に対する対策の研修を4年に1回以上、定期的に受講・配置しております.
4.当院では3.の記載事項を元に,職員を対象とした院内感染防止対策にかかる標準予防策及び新興感染症に対する対策等の院内研修等を実施しております.
5.「歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準」に関するこれら1~4の事項に関しては院内にも掲示していおります.
6.当院では年に1度,院内感染対策の実施状況等について,地方厚生(支)局長に報告しております.

医療DXにおける記載事項と対応

医療DXにおける記載事項と対応についてはウェブサイト上に記載する事項に関しては下記のような内容で良いのではないかと当社では考えております。

医療情報取得加算について

・歯科初診料,再診料に対する医療情報取得加算
当院では,オンライン資格確認等システムの導入が原則義務化されたことに伴い,診療情報および薬剤情報を取得した上で診療を行います.

医療DX推移新体制整備加算について

[施設基準]
(1)診療報酬および公費負担医療の費用請求の際,電子情報処理組織の使用にて請求を行っております.
(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認(以下オンライン資格確認)を行う体制が整備されております.
(3)オンライン資格確認等システムの活用により,患者さまの薬剤情報,特定健診情報等を行う診療室,手術室または処置室等においてv医師等が閲覧及び活用できる体制が整備されております.
(4)「電子処方箋管理サービスの運用について」に基づく電子処方箋を発行できる体制が整備されております.
(5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有している,または導入予定です.
(6)当院ではマイナンバーカードの健康保険証利用について,実績を有しております.
(7) 当院では院内にも,医療 DX 推進の体制に関する事項および質の高い診療を実施するための十分な情報を取得しおよび活用して診療を行うことを掲示しております.
(8)(7)に関する情報を適宜取得しホームページに掲載していきます.変更等がある場合には随時更新していきます.
(9)現行の医療情報・システム基盤整備体制充実加算と同様に,外来リハビリテーション診療料,外来放射線照射診療料および外来腫瘍化学療法診療料において,包括範囲外とする.

[経過措置]
上記内容については、
(1)令和7年3月31日までの間に限り,(4)の基準に該当するものとみなす.
(2)令和7年9月 30日までの間に限り,(5)の基準に該当するものとみなす.
(3)(6)の基準については,令和6年10月1日から適用する.
(4)令和7年 5月31日までの間に限り,(8)の基準に該当するものとみなす.
(注)上記内容に関してはあくまで当社が 医療DX推進体制整備加算の算定要件について [PDF]厚生労働省保険局医療課を読んだ上での見解です。利用については自己の判断を責任を持ってご利用下さい。また資料として令和6年度診療報酬改定の概要【歯科】 [PDF]厚生労働省保険局医療課:令和6年3月5日版を参照しております。

記載内容の範囲解釈が現状では明確ではない部分もあるため,あくまで1例としてご参考になさって下さい.

まとめ

施設基準とは,厚生労働大臣が健康保険法等の規定に基づき定めた,医療機関の機能や設備,診療体制,安全面やサービス面等の基準です.一部の保険診療報酬の算定要件として定められており,請求の際には該当点数の算定上の要件まで確認する必要があります.施設基準には「ウェブサイトへ掲載」の記載はありませんが,書面掲示されるものについては原則ウェブサイトにも掲示するという観点から,上記の項目以外についても上記の加算等に準じて記載が必要になると解釈できます.

当面,医院経営者の方がお困りになっているのは「どこからどこまでウェブサイトに掲載すればよいのか?」であると思います.
現状で「ウェブサイトに掲載」と記述があるのは、

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251542.pdf

・令和6年度診療報酬改定における医療DXに係る全体像 37p
「・医療DX推進の体制に関する事項等について、見やすい場所、
ウェブサイト等に掲示していること。
・一定程度(●%)以上のマイナ保険証の利用実績(R6.10~) 等」

・医療情報・システム基盤整備体制充実加算の見直し 38p
「改定後」~施設基準
1. 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること。
2. オンライン資格確認を行う体制を有していること。
3. 次に掲げる事項について、当該保険医療機関の見やすい場所
及びウェブサイト等に掲示していること。
ア オンライン資格確認を行う体制を有していること。
イ 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤
情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用し
て診療を行うこと。

・医療DXの推進② 39p
医療DX推進体制整備加算の新設
(7) 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険
医療機関の見やすい場所及びウェブサイト等に掲示していること。

医療DXの推進③ 40p
在宅医療DX情報活用加算の新設
[施設基準(歯科医療機関)]
(1) オンライン請求を行っていること。
(2) オンライン資格確認を行う体制を有していること。
(3) 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの活用により、医師等が患者の診療情報等を取得及び活用できる体制を有していること。
(4) 電子処方箋を発行する体制を有していること。(経過措置 令和7年3月31日まで)
(5) 電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。(経過措置 令和7年9月30日まで)
(6) (2)の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療
機関の見やすい場所に掲示していること。
(7) (6)の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲示していること。

新興感染症等に対応可能な歯科医療提供体制の構築 82p
歯科外来診療における医療安全対策の評価の見直し②

歯科外来診療医療安全対策加算1の施設基準(初診料、再診料共通)
(1)歯科医療を担当する保険医療機関(歯科点数表の地域歯科診療支援病院歯科初診料に係る施設基準に適合するものとして地方厚
生局長等に届け出た保険医療機関を除く。)であること。
(2)歯科外来診療における医療安全対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
(3)歯科医師が複数名配置されていること、又は歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。
(4)医療安全管理者が配置されていること。ただし、病院である医科歯科併設の保険医療機関(歯科診療及び歯科診療以外の診療を
併せて行う保険医療機関をいう。以下同じ。)にあっては、歯科の外来診療部門に医療安全管理者が配置されていること。
(5)緊急時の対応を行うにつき必要な体制が整備されていること。
(6)医療安全対策につき十分な体制が整備されていること。
(7)歯科診療に係る医療安全対策に係る院内掲示を行っていること。
(8)(7)の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載していること。

歯科外来診療における医療安全対策の評価の見直し③ 83p
歯科外来診療医療安全対策加算2の施設基準(初診料、再診料共通)
(1)歯科点数表の地域歯科診療支援病院歯科初診料に係る施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で
あること。
(2)歯科外来診療における医療安全対策に係る研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置されていること。
(3)歯科医師が複数名配置されていること、又は歯科医師が1名以上配置されており、かつ、歯科衛生士若しくは看護職員が1名以
上配置されていること。
(4)歯科の外来診療部門に医療安全管理者が配置されていること。
(5)緊急時の対応を行うにつき必要な体制が整備されていること。
(6)医療安全対策につき十分な体制が整備されていること。
(7)歯科診療に係る医療安全対策に係る院内掲示を行っていること。
(8)(7)の掲示事項について、原則としてウェブサイトに掲載していること。

診療報酬における書面要件及び書面掲示のデジタル化について 186p
書面掲示事項のウェブサイトへの掲載

デジタル原則に基づき書面掲示についてインターネットでの閲覧を可能な状態にすることを原則義務
づけするよう求められていることを踏まえ、保険医療機関、保険薬局及び指定訪問看護事業者におけ
る書面掲示について、原則として、ウェブサイトに掲載しなければならないこととする。
※ 自ら管理するウェブサイトを有しない保険医療機関等は対象外。
※ 令和7年5月31日までの間の経過措置を設ける

施設基準の届出について(改定に伴う主な経過措置①)196p

旧施設基準(廃止):歯科外来診療環境体制加算1

新施設基準:
歯科外来診療医療安全対策加算1
歯科外来診療感染対策加算1
歯科外来診療感染対策加算1

追記内容:(※人員体制、掲示事項のウェブサイトへの掲載以外)

施設基準の届出について(改定に伴う主な経過措置②)

旧施設基準(廃止):歯科外来診療環境体制加算2

新施設基準:
歯科外来診療医療安全対策加算2
歯科外来診療感染対策加算3
歯科外来診療感染対策加算4

追記内容:(※人員体制、掲示事項のウェブサイトへの掲載以外)

ここにおける「追記内容」がウェブサイトへの記載に対する解釈が不明ですので調査中です.

本件に関する内容の問い合わせは関東信越厚生局にて回答を頂けますが、大変混雑しており確認できない状況に御座います。分かり次第、随時更新致します。
2024年5月24日現在
2024年6月10日追記

デジタル原則:デジタル社会の実現に向けた政府の共通指針

デジタル庁:アナログ規制見直しの取組 として、政府における共通の指針であるデジタル原則の下、新たな付加価値を生み出しやすい社会を作るために、アナログ規制の一掃に向けた取り組みを進めています。ここに医療・歯科医療現場においてはマイナ保険証の普及などが進められています。
※外部リンクに飛びます。(デジタル庁HP)

政府は「包括的データ戦略」(令和3年6月)にて掲示された7層のアーキテクチャを参考にデジタル社会の実現に向けた構造改革のための5つの原則を整理。
PDF:構造改革のためのデジタル原則の全体像
※外部リンクに飛びます。(デジタル庁HP)

例)ホームページの記載例
※現状ではこのような記載をされているお客様が多いですが、掲載における判断は自己責任でお願い致します。新規ページにて掲載することを推奨します。
※当社の管理しているお客様にはホームページ更新サポート内で新規ページ及びご希望であればバナーもお作りします。お気軽にお申し付け下さい。

令和6年6月1日より診療報酬が改定されることに伴い、当院では以下の施設基準を取得しております。

  • 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準
  • 医療情報取得加算
    オンライン資格確認システムを利用して、
    診療情報・薬剤情報を取得した上で診療を行います。
  • 医療DX推進体制整備加算
    オンライン資格確認システムを利用して取得した診療情報、薬剤情報を診療に活用します。
    今後、電子処方箋および電子カルテの体制を整備する予定です。
  • 歯科外来診療医療安全対策加算1に関する施設基準
  • 外来後発医薬品使用体制加算
    後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用に積極的に取り組んでいます
  • 一般名処方加算
    医薬品の供給状況などを踏まえ、患者様に医薬品が行き渡りますよう、医薬品の一般名処方に取り組んでいます。
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