つぶれる歯医者の特徴 2022年版

2025年12月16日加筆しました。

つぶれる歯医者≒倒産件数・閉院数

2020年度に帝国データバンクから発表された歯科医院数の倒産件数は10件、負債総額は3億2600万円であり、閉院数は64件。
2021年(令和3年)の歯科医院の総数は68,024診療所ですから決して多くはありませんが、つぶれる歯医者というよりつぶれそうな歯医者を継続し続けている件数は非常に多いように思えます。

失敗する歯科の内覧会

市場調査をしないで開業してしまう

つぶれる歯医者…の多くは開業前にすでにその要因を作っています。
倒産・閉院件数は表面上は少ないものの居抜き譲渡などによる実質的な撤退案件はかなり多いと思います。結論から言うと開業前に市場調査をしていない、業者の市場調査を鵜呑みにしている(実際に自分でその地域を足を使ってきちんと調査していない)、近隣の競合歯科医院の調査をしていないことが多く見受けられます。

・診療時間、休診日
・治療内容
・小児歯科、キッズスペース
・予防におけるアプローチ
・ホームページの内容
・CT、マイクロなどの歯科器材
・ホワイトニングの料金設定、メーカー

・駐車場の有無、数
・カード払い、デンタルローンの導入
・予約システムの調査

近隣歯科医院の内容だけで見ても、最低限このくらいの調査は必要です。
ただ、確かに人口推移や平均的な世帯収入、医院前の1日における人の流れや人数調査、周辺の大型中型のショッピングセンターやマーケット、個別指導塾やコンビニエンスストアの数なども調査の対象とすべきですが、昨今のSNS時代、ユーザーは真の価値あるものには自ら探し当ててでも見つけてきてくれる時代です。ペルソナ設計をきちんと立て、中長期における経営を計画しなければ倒産確率は上がるだけでしょう。

また、特に居抜きでの開業は患者情報を譲渡してもらえるだけの部分にメリットを感じてしまいやすいですが、そのまま踏襲して開業すると思わぬ落とし穴に落ちてしまうことも多々あります。

ただ、これらを調べて知っておくだけでも経営として強い情報量、そしてご自身の経営戦略にも役立ちます。

【面接で失敗する】
質の悪い歯科助手・歯科衛生士を雇ってしまう

履歴書は嘘ばかり?面接で見抜けず失敗する

歯科経営者が歯科衛生士欲しさに面接に来た早い者順で雇用して失敗をするのを数多く見て来ました。
面接の手順、基準を学ばないで、面接を受けた人を順番で起用してしまうとトラブルメーカーを起用してしまうことも多々あります。

経営をする以上、雇ってしまうと経営者より雇用者の方が立場が強いのが日本の現状です。
自己防衛のためにも、面接時の採用基準や雇用環境と雇用契約の内容はしっかりと定めておくことが重要です。歯科経営コンサルタントに面接代行をしてもらうと、トラブルがあった場合に交渉しやすくなるというメリットもあります。

さらに個人で契約する外注DHは契約内容の意識が低く、99%契約書の不備が見受けられます。損をするのは経営者です。外注を起用するのは良いですが、契約内容はプロに確認してもらいましょう。

【院長が気づかぬ間に】
悪いスタッフは患者を減らす

特に電話対応、話し方が歯科向けではない

悪いスタッフは院内でのトラブルはもちろんですが、医院のイメージも悪くします。
それは来院された瞬間から直感的に「嫌な空気」を出しているものです。我々のようなコンサルタントは入った瞬間から医院スタッフを観て調査・判断しますから、そのようなスタッフは患者さまにも悪いイメージを与えてしまいます。これも医院が潰れる要因に大きく関係してきます。

また、歯科助手や受付スタッフという職責だけなのにもかかわらず、予約をキャンセルした患者さまに強い態度を取るスタッフがいます。これもまた医院を疲弊・倒産させることに要因となります。なぜなら、それは彼女らが「怒る」という行動の権限を持たないからです。患者さまはそれを理解しています。もちろん予約キャンセルは迷惑なことですが、それを注意する権限は医院経営者であり、もしくはその注意をする権限を与えられたスタッフのみであり、「怒る」という行動は仕事の上でまったく意味を為しません。確実に医院の悪いクチコミを増やします。

 ブログ; 上着を脱がないで面接に入ってくる歯科衛生士・助手

【作業員DHはキケン】
笑顔・デリカシー、配慮がない

歯科衛生士にも色々いますが、笑顔で接遇ができない歯科衛生士はダメ。自費も獲得できませんし、説明や満足度に対して共感もしないので患者さんは不満を持ちます。結果として他院に流れます。

歯をクリーニングした時などは、キレイになったことを一緒に喜んで差し上げたり、ちょっとしたアドバイスにも笑顔で対応、これは歯科を選べる市場になってしまったことで「笑顔・配慮・共感」がDHに求められる必須条件となったからです。
デリカシー、配慮の出来ない、育ちの悪いスタッフを雇用すると医院の人気を著しく下げることになります。

評価制度は初めはどんなシンプルなものでも、面接時の自己評価を図る上でも重要です(出来ないスタッフに辞めてもらう時に役立ちます)。経営を始めて経験に学ぶ方がほとんどですが、経営者は従業員より弱い立場です。ご自身を守るためにも準備しましょう。

POINT:
1.パソコンを持っていないスタッフはキケン
2.エステ、美容院にしばらく行っていないDHは要注意
3,面接時にメモを取らない、出さない、持って来ていない人は要注意

【売り上げが頭打ち】
歯科衛生士を雇わない歯科医院

東京都の歯科医院で歯科衛生士が1人もいない、雇用していないクリニックが55%もあり、さらに1人しかいない医院は26%ということです。
1人ならまだしも、歯科衛生士がいないということは医業収益を上げようとしても上げられないというジレンマに陥ります。

正直、歯科衛生士を使いこなせない・いない医院は潰れます。

電話に出ない歯医者

【患者が逃げていく】
電話に出るのが遅い歯科医院

取りこぼしは倒産原因に直結する

電話に出るのが遅い電話応対をするサービスやお店、会社って何度もコールすると「イラッ」っとしませんか?
痛くてツラいのに散々コールで待たされた挙句、ねぎらいの言葉もなくつっけんどんで「〇〇歯科です」だけ言われたら、「お待たせしました」などの一言はないの?ってイラッとしてしまうのが患者心理です。

そしてコールが鳴っているのに電話を取れず患者さまを逃がしてしまうことの多い歯科医院は確実に潰れます。

電話に出るのが遅い歯科医院

これは本当によくない傾向、患者の少ない歯科医院に限って電話に出るのが遅いんです。
企業では3コール以内に電話に出るのが常識です。
つまり、世の中の常識に合っていない歯科医院は人気歯科医院であるという認識がない限り、電話に出るのが遅い歯科医院はやる気がないと判断されてしまいます。

電話が出る前に切れてしまった時の機会損失(きかいそんしつ)は患者1人あたり3万円程度と言われています。

【セミナーだけで学んだ気になるな】
経営学を学ばず、経営書も読まずに開業し失敗

歯科医師である皆さんはシングル・タスク(1つのことを探求しその分野のスキルを上げる)が得意な方が多く、治療や接遇には高い能力を発揮できる方は多いのですが、経営管理や経理、スタッフ指導、自費誘導へのクロージングなど複数の能力を同時に行わねばならないなどマルチ・タスク(あらゆる方向へアンテナを伸ばし、つねに情報収集、スキルアップ、広く能力を高める)を苦手とする方が多いのも事実です。

その為、苦手とする分野を奥様などに任せてしまうケースもありますが、夫婦間で経営の指針やビジョン、勤務マニュアルや評価基準、日々の業務におけるチェックシートなど(奥様が歯科従事者であれば上手くいくケースも多いですが…)を用意していないことが多く、方向性と発言のベクトルが違う経営者が2人いるような状態になりやすく、離職率が高くなり、いつも人材不足で経営状態が悪くなっていくというケースが見受けられます。

奥さんとの主従関係が医院経営にまで影響されていて、「この人ほんとダメなんです」と、旦那と先生を混合している医院にはコンサルが入っても改善はできません。

開業時や開業前に、自分が勤務した過去の経験内容だけに頼らず学ぶことが大切です。
ただし、歯科経営セミナーで「勉強したつもり」も危ういです。実際に開業後には使い物にならない歯科経営セミナーを鵜呑みにしてしまって実践している歯科医院経営者は大変多くいらっしゃいます。

・経営セミナーはモチベーションだけ上げる
・開業セミナーで成功する気分にだけなる
・開業前の失敗していく理由を考えていない
※成功する方法ばかりを考えている

経営はご家族の協力があってこそです(一緒に働かなくても!)
失敗をする前に、失敗になるケースを知っておくことこそ、成功につながる「失敗しない経営術」です。

【取れる点数はきちんと取る】
保険点数を勉強していないと…

保険点数、獲得できるものはきちんと獲得しないと小さな積み重ねでもある保険点数はじわじわ自分の首を絞めていきます。
実際に、保険点数についてまったく学ばない先生には、いくらコンサルタントが付いてもハンドルを握っているのは先生自身です。
お金が目減りして、どうにもならなくなってからでは遅いのです。居抜き業者が手をこまねいてます。

【倒産する先生に共通点】
バイアスに飲み込まれやすい

歯科医師はバイアスに飲み込まれやすい傾向があります。
バイアスとは、傾向・先入観、自分のわずかな知識と経験といった思い込みや判断の隔たりを意味します。

経営は常に鳥瞰的・俯瞰的、そして虫瞰的な視野と思考が必要です。バイアスに飲み込まれやすい経営者は経営が下手です。患者が増えない・増やせない、スタッフを使いこなせない、自費を伸ばせないという最悪のスパイラルに飲み込まれやすいのです。

逆に治療がそれほど得意じゃなくても、それら3つが出来れば医院経営は面白いほど上手に(利益の追求という点で)出来るケースも多々あります。
あくまで歯科医院経営は『経営』ですから、治療行為ではありません。しかしながら経営をするのであれば治療が上手でも経営が下手なのであれば医院は倒産します。ここをご自身で学ばれた方は大きく成長することが多いというのも歯科業界というマーケットが、逆に言えば「経営を学ばないまま経営をしている人が多い」ということであり、そのマーケットで経営力を手に入れれば大きく成功しやすいということでもあります。

歯科医院を潰す経営者は100%バイアスに飲み込まれていると断言できます。
そして歯科医院は中小企業のように短期間で倒産はしません。ゆっくり苦しくなり、ゆっくり言い訳をしながら、ゆっくり終わっていきます。それが昨今の開業や歯科経営では少しずつスピードが速まっていると言えます。

【無駄な広告ばかりで終わる】
悪い広告費で首を絞める
正しい宣伝広告費を毎月の予算編成に組み込んでいない

歯科医院の数は68,024件、他の診療所(内科・小児科・皮膚科)などが合わせて10万件ほどに対し、完全に歯科では市場原理が介入、発動している状態です。
つまり他の医科の分野に比べて競争原理が生まれてしまっていると言えます。それにより患者側は自分の欲求や判断により歯科医院を選ぶということになります。

逆を言えば、歯科医院経営において宣伝広告費を掛けないということは集患・新規患者の獲得をギャンブルにするということです。
そして広告を運営できていない歯科がほとんどです。(とくにホームページ)

では、宣伝広告費について種類によっての考え方と予算の指針を説明します。

固定費としての宣伝広告費

・予約ツール(診察券アプリ)
・駅看板、電信柱看板
・ホームページ管理費
・宣伝物を作るための人件費
※医院ニュース作成時間、メルマガ配信
※ホームページ・SNS等の更新作業

流動的な宣伝広告費

・リコールはがき(通信料)
・医院紹介3つ折りリーフレット
・自費促進3つ折りリーフレット
・紹介カード
・増患チラシ
・リスティング広告料(LP)

固定費はある程度、毎月の金額が算定できますが流動的な広告費は戦略的に変化するものです。近い将来、これらは当たり前のように浸透していくと思われますし、逆にこれらの施策・対策をしていない歯科医院はおのずと患者減少、淘汰されていく可能性が高いと言えます。

【カネの使い方が下手】
ケチな経営は倒産しやすくなる

おおよそ倒産する、市場から撤退することを余儀なくされる歯科医院経営者は宣伝にお金を掛けません。
色々な理由を述べる方がいますが、

・ホームページを更新、運営していない
・嘘のクチコミには金を掛ける
・トレンド経営を学んでいない
・院内リーフレットや自費の説明ツールも作っていない
・24時間ウェブ予約も導入していない
居抜き開業を通常の開業と同じにする人

これでどうやって経営が上手くいくのか、逆に進んで潰しにいっているんですよね?と聞きたくなります。

経営は掛けるべきところに、どれだけお金を掛けるか?またはお金を掛けずに手間を掛けるか?の2択です。他に選択肢はありません。
いまどき、「良い治療を提供していれば患者に選ばれる」なんて思っていたら大間違いです。「良い治療を提供していることをどうやって伝えているか?伝わっているか?」です。
もちろん、良い治療と丁寧な説明、笑顔で患者さまと接することはもはや最低の基本設定なのです。

つぶれる歯医者 独立失敗

つぶれる歯医者 まとめ

トータル的に、つぶれる歯医者というのは『つぶれてしまいそうな歯医者の日々の継続であるとも言えます。

結果として歯科治療については非常に前向きであっても、経営をおろそかにしてしまうと、上手くいっているうちは良いですが、もし「経営状態が悪くなってきたら」という状況では歯と同じで治療費は高額になります。おおよそ経営状態が悪い状態というのは財政状況も悪くなっている訳ですから良い治療が受けられない場合がほとんどです。

歯科経営における廃業率の数値は低いですが、経営を失敗するとメンタル的にも友人関係においても孤立し悪循環のスパイラルになります。
経営は経験による学びが多いですが、出来る限り戦略的な経営計画をはじめに立てておくことを勧めます。

【賢い経営者はこうしている】
経営しないで経営に勝つ

歯科経営は歯科医師の治療技術のみで決まらず、
経営者の経営術のみで決まらず、
ただ結果だけが真実、フィックスリリース!

歯科経営は通常の中小企業経営とは違い、先生お一人おひとりに最適な経営と成功と設定する手法が必ずあります。
その方法を見つけ、自分の移り行く年齢に合った経営へとシフトチェンジしていくことも重要です。

若いときには、たくさんの患者さんに対応出来て、スタッフにも精力的に指導やパフォーマンスができるかと思います。
ですが、50代、60代はやはり体力も落ちてきます。同じようには出来ません。

ただ、年齢に合った治療スタイルが出来ても、医院そのものが歳を取った古臭い医院では患者さまがいなくなってしまいます。
経営者が年齢を重ねるのは魅力になりますが、経営そのものが古くなることに良いことはありません。

もし、ご自身の医院経営を見直して修正したい場合は、良いコンサルタントを見つけることを推奨します。

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