「2026年度(令和8年度)診療報酬改定」に向けた具体的な改定案(通称:短冊)

「2026年度(令和8年度)診療報酬改定」に向けた具体的な改定案(通称:短冊)

2026年(令和8年)1月23日に開催された「第644回 中央社会保険医療協議会(中医協)総会」の提出資料、「2026年度(令和8年度)診療報酬改定」に向けた具体的な改定案(通称:短冊)の第1弾について主なポイントを整理しました。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001639439.pdf

資料の概要:個別改定項目について(その1)

この資料には、4月の改定で「どの項目の点数がどう変わるか、どのような要件が追加されるか」という具体的な方針が示されています。

1. 医療従事者の賃上げ・働き方改革の推進
賃上げへの対応: 2024年度改定の流れを引き継ぎ、看護師やコメディカル、若手医師等の処遇改善に向けた評価の拡充。

働き方改革: 医師の事務作業補助体制加算の見直しや、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進。

2. 医療DXのさらなる推進
マイナ保険証の活用: オンライン資格確認を基盤とした医療情報の共有評価。

電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス: これらを利用する体制への評価(医療DX推進体制整備加算等の見直し)。

3. 外来・入院医療の機能分化と連携
地域包括ケア: 入院から在宅へのスムーズな移行を促すための「地域包括医療病棟」や「入退院支援」の要件厳格化または拡充。

生活習慣病管理: 特定疾患管理料から生活習慣病管理料への移行定着に向けた更なる見直し。

4. リフィル処方箋・長期処方
効率的な薬物治療の推進に向け、リフィル処方箋の活用や、長期処方に関する処方箋料の評価体系の見直し。

まとめると

この800ページを通じて読み取れるのは、「ただ医療を提供するだけでなく、データ(DX)を活用し、働く人の環境(賃上げ)を守りながら、適切な場所(機能分化)で効率的に提供せよ」という強力なメッセージです。

特に「賃上げ」「DX」は、対応できない医療機関に対して厳しい収益減少(減算や加算不可)を強いる構造になっており、今後の経営戦略の根幹となる内容です。

歯科医院の経営において極めて重要となるポイントを5つの軸で整理しました。

今回の改定は、単なる点数の増減にとどまらず、「物価高・賃上げへの対応」と「医科歯科連携の深化」が経営の明暗を分ける内容となっています。

1. 「歯科外来物価対応料」の新設と基本料の引き上げ

経営の安定化に直結する、最もインパクトの大きい項目です。

歯科外来物価対応料(新設):光熱費や歯科材料費の高騰に対応するため、初診・再診時に上乗せできる加算が新設されます。令和9年(2027年)6月以降はさらに点数が引き上げられる「段階的措置」が導入される予定です。

初診料・再診料の引き上げ:スタッフの賃上げ(ベースアップ)を原資とするため、基本診療料の点数が底上げされます。

2. 「口腔機能管理」の対象拡大と要件見直し

歯科疾患管理料(歯管)の見直し: かかりつけ歯科医としての管理機能を評価するため、対象患者の範囲が拡大されます。

口腔機能低下症への対応: 高齢者の「オーラルフレイル」対策として、口腔機能管理料の算定要件が緩和・整理され、より日常的な臨床に取り入れやすい形になります。

小児口腔機能管理料: 成長期における口腔機能発達不全症へのアプローチがより重視されます。

3. 医科歯科連携と新設加算

医科(内科等)との連携が、直接的な収益源となる仕組みが強化されました。

歯科医療機関連携強化加算(新設): 医科の「生活習慣病管理料」において、歯科と連携した場合の加算が新設されます。これは、糖尿病患者などの口腔管理を歯科が担うことへの正当な評価であり、近隣の内科クリニックとの連携体制がある医院にとって大きな強みとなります。

療養計画書の署名省略: 医科歯科連携における事務負担軽減のため、計画書への患者署名が不要となる見直しが行われます。

4. 歯科DXと施設基準の厳格化

デジタル化への対応は「努力目標」から「必須要件」へと変わります。

医療DX推進体制整備加算: マイナ保険証の利用実績や、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスの導入が、高い点数を維持するための条件となります。

BCP(事業継続計画)の策定: 「機能強化加算」などの施設基準に、災害や感染症発生時に備えたBCP策定が義務化される方向です。未策定の場合、一部の加算が算定できなくなるリスクがあります。

5. 予防・重症化予防の推進

SPT(歯周病安定期治療)の整理: 歯周病の重症化予防について、より実績に応じた評価体系へと整理されます。

CAD/CAM冠の適用拡大: デジタル技術を活用した補綴治療の範囲や評価が、最新の技術動向に合わせて更新されます。

この800ページの資料を踏まえ、今すぐ着手すべきは以下の3点です。

  1. 「物価対応料」と「賃上げ」のシミュレーション: 新設される加算が自院の経費増をどの程度カバーできるか、またスタッフへの還元分をどう算出するか早期に計算が必要です。

  2. 医科クリニックとのパイプ作り: 新設の「連携強化加算」をフックに、地域の医科診療所へ「口腔管理の受け入れ体制」をアピールすることが、新患獲得の鍵となります。

  3. DX設備の導入スケジュール確認: 電子処方箋などの導入には補助金や納期が絡むため、2026年度中の完全対応に向けて計画を立てる必要があります。

「口腔機能管理料」の詳細な算定要件や、
具体的な「連携強化加算」の点数案について

2026年(令和8年)1月23日の中医協資料(短冊)に基づき、「口腔機能管理料」の見直し詳細と、新設される「連携強化加算」の具体的な算定要件・点数案を深掘りして解説します。

今回の改定では、管理の継続性と「他科との実質的な連携」が点数に強く反映されています。

1. 口腔機能管理料の詳細な算定要件(2026年度改定案)

口腔機能低下症(高齢者)および口腔機能発達不全症(小児)への対応が、より実務的かつ包括的な評価へと整理されています。

【主な変更点と算定要件】

検査要件の整理:これまでは複数の検査項目が複雑に組み合わさっていましたが、今回の改定案では、**「基本検査」+「選択検査」**の形に整理され、診断のハードルが実態に合わせて調整されています。

管理計画のデジタル化推進: 患者に提供する「口腔機能管理計画書」について、マイナポータル等を介した電子的な共有や、医科とのデータ連携を行っている場合、「DX管理加算(仮称)」といった上乗せ評価が検討されています。

継続的な指導の評価:単発の指導ではなく、3ヶ月〜6ヶ月スパンでの機能改善の効果判定を行うことが要件化され、改善が見られた場合の「アウトカム評価(実績評価)」が導入される見込みです。

【算定のポイント】
対象: 65歳以上の口腔機能低下症患者、または15歳未満の口腔機能発達不全症患者。

頻度: 月1回を限度として算定(継続管理が前提)。

歯科医療機関連携強化加算

2. 連携強化加算(医科歯科連携)の点数案とスキーム

今回の改定の目玉の一つが、生活習慣病(特に糖尿病や心疾患)を持つ患者に対し、医科と歯科が連携して口腔管理を行うことを評価する仕組みです。

【新設:歯科医療機関連携強化加算】

医科側で「生活習慣病管理料(II)」を算定している患者に対し、歯科側で口腔内状態の管理・情報提供を行った場合に算定可能となる見込みです。

【具体的な連携フロー】

  1. 医科(内科等): 生活習慣病管理料を算定中の患者に、歯科受診を推奨・依頼。

  2. 歯科: 歯周病検査や口腔機能検査を実施。管理計画を作成し、治療・指導を行う。

  3. 情報共有: 歯科から医科へ、歯周病の状態や咀嚼機能の状態をフィードバック。

  4. 算定: 歯科側で「連携強化加算」を、医科側でも「歯科連携加算(仮)」をそれぞれ算定。

3. 歯科経営におけるインパクトと対策

この800ページの資料から読み取れる「経営上の分岐点」は以下の通りです。

① 「歯周病管理」が生活習慣病対策のインフラになる

これまでは歯科単独の治療だった歯周病治療が、地域の糖尿病対策の一環として組み込まれます。これにより、紹介患者(医科→歯科)のルートが診療報酬によって公認・促進されることになります。

② 事務負担の軽減(署名の省略等)

資料内では、連携に伴う文書作成の負担を軽減するため、「患者の署名省略」や「電子カルテ上での共有」を条件とした簡略化が明記されています。これは、スタッフの業務効率化において大きなメリットです。

③ 「物価高騰」への直接的な補填

前述の「歯科外来物価対応料」は、初診料・再診料に一律加算される性質を持つため、レセプト枚数が多い医院ほどダイレクトに収益改善に繋がります。

まとめ

当社としては昨年から私、代表小林が強く推進していました、「近隣の内科・糖尿病専門医とのネットワーク構築」を最優先事項として提案することをお勧めします。この「連携強化加算」は、単なる点数アップだけでなく、安定的な紹介患者の確保(BtoB連携)を実現する強力なツールになります。

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